世界中から観光客が集まるフィジーは、大小333の島々からなる南太平洋の島国です。フィジーは太平洋島嶼国の中で、パプアニューギニアに次ぎ2番目の人口を誇ります。フィジー系先住民のほか、イギリスとの植民地時代に入植してきたインド系の人が多く住んでいるのも特徴です。ここでは、歴史や人口、民族など、フィジーの基本情報についてご紹介します。
目次
フィジーの基本情報
フィジーの人口・宗教・公用語について
2017年の国民調査によると、フィジーの人口は全体で約88万人で、2007年の同調査からは5.7％人口が増加しています。
2017年の調査対象にはなっていないようですが、2007年の国民調査からわかる民族の割合は、フィジー系が57％、インド系が38％、その他が5％となっています。フィジーは1874年から1970年までイギリスの植民地となっており、この時期に同じくイギリスの植民地であったインドから多くの移民が入植されました。
この影響で、現在インド系国民が約4割と多くを占めているため、宗教もキリスト教、ヒンドゥー教、ムスリム教などが存在しています。フィジーの街を歩いていると、キリスト教の教会の他に豪華なヒンドゥー教寺院なども見られ、不思議な異国情緒を感じることができるでしょう。
また、フィジー系国民はフィジー語を、インド系の国民はヒンディー語を母語として持っていますが、このような歴史的・民族的背景もあることから、フィジーの公用語は「英語」です。小学校などの教育過程では全て英語が使用されるため、国民の9割以上が英語を話します。フィジーにいる現地人はほぼ英語が通じるので、簡単な旅行英会話を覚えておけばフィジー旅行もよりスムーズになるでしょう。
フィジーは政治・経済・観光の重要地点
フィジーは太平洋島嶼国の中心部に位置しています。その地理的な部分も関係し、島嶼国の政治・経済において重要な役割もたくさん担っています。例えば、太平洋の国々と地域で構成されている国産機関の太平洋諸島フォーラム（PIF）の事務局や、太平洋島嶼国で有名な南太平洋大学（USP）もフィジーにあります。
またリゾート地としても非常に人気が高く、年間で訪れる観光客の数は2018年には87万人を超えました。人口と同程度の数の観光客が来ているというのもすごいですよね。
フィジーの歴史と人口の移り変わり
フィジーはイギリスの植民地時代以前、今よりも人口が圧倒的に少なかったそうです。独自の文化が発展しており、人口が少ないながらも平和で穏やかな暮らしをしていたといわれています。
しかし1870年代にイギリスの植民地となってから、サトウキビ農園の労働者としてインドからの入植者が増え、36年の間で61万人を超えるインド系移民がフィジーで暮らすようになりました。1970年の独立時にはインド系国民がフィジーの先住民よりも多くなるまでになっており、実際に経済を支えていたのはインド系の人たちでした。
しかし、独立時に国内で対立が起こってしまい、インド系の土地所有権が制限されたりと不平等状態が続きます。政治の権力もフィジー系の人たちにあったと言われています。国内でクーデターが起こり、インド系の人たちも政治への参政権をもつようになったりと状況が変わっていくものの、これもスムーズには進まなかったため、多くのインド系の人たちがフィジーを離れていきました。
その後もフィジーでは3回ほどクーデターが起こり、少しずつ状況が変えられていきます。いまでこそ平和で幸せな国という印象のフィジーですが、辛い時代を乗り越えて現在に至っているのですね。
フィジーの人口は増え続けている
フィジーの人口比率を見てみると、0歳から4歳までの割合が最も多く、平均年齢も27.5歳となっています。超高齢化社会の日本とは全く異なるグラフになっているのがわかるでしょう。
フィジーは近年、観光業を中心として経済発展も著しく、教育や医療の分野にも力を入れ始めています。そのため、今後も人口の増加が見込まれるでしょう。
さまざまな民族を受け入れている背景からか、フィジーには多様性を受け入れる文化が根付いているようにも思います。旅行で訪れても、多くの地元の人がフレンドリーに話しかけてくれたり、人種や民族に対する差別的な目線はないように感じます。美しい自然が手付かずで残されている場所も多く、治安も比較的良い地域でもあるので、旅行先としての魅力がたくさん詰まった国であるといえるでしょう。
日本とは違うさまざまな文化に触れることのできるフィジー。今後どのように移り変わっていくのかにも注目したいですね。
